奥七郡から出発

佐竹氏は、茨城県北部の「奥七郡」から身を興し、浮沈の時代を経ながら470年にわたって勢力を維持した。豊臣秀吉の時代には常陸国を統一。
その石高は伊達政宗らと同じ規模を誇った。上納金の量は全国3番目という経済力も持っていた。
秋田の人は今でも「佐竹氏は茨城ではなく、常陸から来た」と言うそうである。

本書は常陸時代の佐竹氏を「後三年の役」から「国替え」まで節目ごとに取り上げ、当主の歴史的選択の背景に迫った。
未だ不明な部分も多いが、限られた史料や伝承をもとに常陸佐竹氏の全体像に迫った力作である。
常陸佐竹氏の変遷をドキュメント・タッチでまとめた格好の佐竹氏入門書となっている。

山歩き里ある記

関東平野が広がる茨城県にも県北を中心に多くの名山がある。眺望の山、歴史の山、信仰の山、自然あふれる山。
1000メートルに満たない低山が大半だが、それぞれが個性を主張し、登ってみると思わぬ出会いと発見がある。
日本百名山ともなっている筑波山は今や首都圏から多くの登山客が訪れる人気スポットである。

「山歩き里ある記」は2012年5月から2014年3月にかけ、地元紙の茨城新聞社が県内の主だった山をシリーズで紹介したもの。
単なる山登り記ではない。その山に関わる歴史や文化、史跡、自然などを実際に歩いて紹介した実用性を兼ね備えた山物語である。

例えば筑波山を見ると、奈良時代から歌に詠まれてきた歴史、信仰、ブナも彩る豊かな自然、目を引く奇岩、そして関東平野を一望できる雄大な光景などが描かれている。他の山も引けを取らない。
展望や自然の魅力はもちろん、弘法大師、八幡太郎義家、水戸光圀公らの足跡が残る伝説の山、常陸国風土記に綴られた山、南北朝時代に戦いの場となった山、幕末に水戸藩の天狗党と諸生党が戦った山、明治期の自由民権運動の中で起きた加波山事件の地など、歴史の舞台となった山が次々と登場する。
県内の多くの山は信仰の対象として頂に社を構え、山城として名を刻む所もある。
登山対象とならないような低山や森林公園、神社を祭った山なども盛り込み、本書はさまざまな角度から茨城の山の魅力を伝える貴重な1冊となっている。

実際に歩いた登山ルートや簡単な地図、 登山時間なども記載されているが、時季によっては登山に適さない山、道が荒れている所があり、本書を参考に登る際は現状やルートの安全を十分に確認していただきたい。